【零紅い蝶 考察⑬】双籠りエンディングあらすじ|二人で一つの繭に閉じ籠る意味を解説

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本記事は「零紅い蝶 考察」として、「双籠りエンディング」における澪と繭の心理を整理しています。

『零 ~紅い蝶~』の双籠ふたごもエンディングは、実際のゲーム本編には収録されていない構想段階の結末です。

しかし設定資料集には詳しい流れが語られていました。

凍蝶エンディングや陰祭エンディングの要素が散りばめられた双籠り

本記事ではあらすじを整理しながら、タイトルに込められた意味やこの結末が何を示していたのかを考察していきます。

※ネタバレが多く含まれますので、本作未プレイの方はこちらの記事からお読みください。


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双籠り(ふたごもり)エンディング|あらすじ

壊れたように笑う紗重のイメージ画像。

低く、重く、鳴り響く「虚」。

繭はその淵でたたずんでいました。

次第に、繭の輪郭が紗重と重なっていきます——。


耳をつんざく壊れた音。

喉の奥で砕けたかのような紗重の声が、甲高く虚の淵に弾けました。

笑っているのか…。
泣き叫んでいるのか…。

澪には、もはや判別できません。

意を決して一歩踏み出す澪。

虚の底では、闇がうねりはじめていました。

足元を突き上げるような揺れが走ります。

地鳴りはさらに深くなり、今度は紗重の輪郭が揺らでいきました。

紗重だったものは繭になり、繭だったものはまた紗重に戻る。

その姿はすでに、一人の誰かとして留まることができていない……。

揺れが収まると、繭はゆっくりと澪に近づきます。

澪の首へ、手を伸ばしながら——。


伸ばされた手を見ながら、何もかもが分からなくなってしまった澪。

姉が妹を殺すのか…。
妹が姉を殺すのか……。

繭が澪を終わらせるのか…。
澪が繭を終わらせるのか……。

儀式の形も、姉妹の境界も、膨れ上がる闇と共に徐々に崩れていき——。


いつの間にか、繭が眼前まで迫っていました。

「足が痛いよ…」
「ひとりで逃げて……」
「また、置いていくの……?」

「もう逃がさない…」

声が、記憶が、責めるように澪の中へ流れ込みます……。

動けない……。
逃げられない……。
答えを出せない……。

そのとき、ひときわ大きく震える虚。

なだれ込んだ闇の奔流が、繭を背後から飲み込みます。

その刹那、澪の中にある迷いの糸が断ち切れました——。


怖いとか…。
分からないとか……。
どうすればいいのかとか……。

そんなのもう…。

どうだっていい!

私はおねえちゃんと一緒にいたい!!

「おねぇちゃん…っ……!!」


闇の中へ飛び込む澪。

勢いのまま押し寄せる闇をかき分けていきました。

しかし、なかなか前には進めません。

手を伸ばしても繭との距離だけが遠く感じられる……。

いつしかこの状況が、遠い日の記憶と重なって——。


——幼い頃の暮羽神社の陰祭。

澪は人波をかき分けていました。

向こうで、繭が泣いています。

二人の間に流れ込むいくつもの影。

それでも澪は、歯を食いしばりながら進みました…。


ようやく繭のもとへと辿り着く澪。

泣き濡れた繭の顔が安堵にほころびます。

次の瞬間、澪の胸に繭が飛び込みました。

「みおっ……みぉ…っ…ごめ…っね…っ…!」

澪も泣きながら、繭を強く抱きしめます。

「ずっと…ぃっしょ…っ…だからっ…やくそく…だからっ!」

その言葉とともに、祭りの光景は静かにほどけていきました——。


気づけば、そこは虚の淵。

闇の中で抱き合う澪と繭は、いつしか八重と紗重の姿に重なります。

二人はどこか満足そうな顔で見つめ合っていました。

八重がいたずらっぽく微笑み、紗重の首元へ両手を伸ばします。

幼い頃からの、秘密の遊び——。

互いの首に手をかけ、痛みを分け合い、一つになる……。

それに気づいた紗重は、かすかに笑いました。

喉を差し出しながら、紗重もまた、八重の首元へ手を添えます。


八重が力を込める。
紗重が力を込める。

澪が力を込める。
繭が力を込める。

触れているのか…。
触れられているのか…。

終わらせようとしているのか…。
一つになろうとしているのか…。

その感覚さえ、もう区別がつきません。

八重と紗重。
澪と繭。

ぼやける輪郭。
消える距離。

触れる手も、触れられる首も、すべてが溶けていく——。


漆黒の闇の中。

澪と繭は、一枚の着物にくるまれていました。

どちらが支え、どちらが支えられているのかも分からないほど近く、寄り添う二人。

「……澪」

「……ん?」

「……なんでもない」

繋いだ手に、繭がそっと力を込めます。

掌の温もり。

その確かな繋がりを感じながら、二人は沈んでいくのでした——。


ふわり、と。

着物が落ちます。

その中から二匹の紅い蝶が現れました。

そして、ゆっくりと羽ばたいていきます。

どこか懐かしい場所へ還るかのように……。


やがて、木漏れ日の差す森の奥。

思い出の沢に、二匹の紅い蝶が小さな弧を描いています。

追いかけるでもなく。
置いていくでもなく。

互いの隣を、もう離れないまま——。

双籠りエンディング考察

双籠りエンディング考察のイメージ画像。

双籠りエンディングで描かれたのは、外へ出て生き延びる救いではありませんでした。

かといって、凍蝶エンディングのように片方が片方を一方的に閉じ込める結末とも違いました。

ここにあるのは澪と繭が互いを離さないまま、闇の中で同じ場所へ溶けていく結末です。

ここからは双籠りエンディングが示す「二人だけの一体化」と、その甘く暗い救いについて考察していきたいと思います。

「双籠り」とは何を意味しているのか

闇の中で寄り添い合い闇の中に閉じていく澪と繭のイメージ画像。

双籠りエンディングを考えるうえで、まず見ておきたいのがタイトルです。

「双籠り」とは、一つの「繭」の中に二匹の蚕が入っている状態「二籠ふたごもり」を思わせる言葉です。

二つのものが一つの内側に籠もる

この意味を踏まえると、最後の場面はとても象徴的に映ります。

生きて帰らず。
現実の中で関係を結び直さず。

一枚の着物に包まれたまま、澪と繭は閉じた世界に沈み込んでいく——。


ここで強く響いてくるのが「繭」という名前です。

「繭」とは、羽化する前の命が内側に籠もる場所。

外へ出る前の空間であり、変化の途中であり、外の世界から切り離された内側とも言えます。

双籠りエンディングでは、澪がその「繭」の中へ入っていくように見えました。

繭を救い出すためではなく、繭と一緒にいるために——。


澪と繭は、もう別々の場所には立ちません。
どちらが支える側で、どちらが支えられる側なのかすら曖昧です。

  • 同じ着物の中にいる
  • 同じ暗がりの中にいる
  • 同じ場所に沈んでいく

そこにあるのは外へ羽化するための「繭」ではなく、内へ閉ざずための「繭」だったのです。


約束エンディングが別々の存在であることを受け入れたうえで外へ開かれていく結末だとすれば、双籠りエンディングは別々であることを手放し、二人でひとつの内側へ閉じていく結末です。

外ではなく、内へ。

「ずっと一緒」という願いが、外の世界から切り離された場所で叶ってしまう。

それが「双籠り」というタイトルに込められた意味なのでしょう。

紗重と繭が混ざり合うことで、澪は何を見失ったのか

虚の淵で紗重と重なっていく繭のイメージ画像。

澪が見失ったものは、目の前にいる相手を「繭」として見分けるための境界です。

虚の淵に立つ繭の輪郭は、次第に紗重と重なっていきました。

紗重だったものは繭になり、繭だったものはまた紗重へ戻る。
その姿は一人の誰かとして留まることができていません。

ここで起きているのは単なる憑依というよりも、二人の痛みが溶け合っていく融合でした。


澪に置いていかれた繭。
八重に置いていかれた紗重。

二人はあまりにも似た傷を抱えている…。

だからこそ澪は、目の前にいるのが誰なのか分からなくなってしまいます。

繭なのか…。
紗重なのか…。

その境界が、闇の中でほどけていくのです。

そして、ほどけていくのは繭と紗重だけではありません。

澪自身もまた、八重の抱えた傷に段々と引き寄せられていきます。

繭の手を離してしまった澪。
紗重の手を離してしまった八重。

過去の双子と現在の双子が同じ傷へ近づいていくことで、澪は自分が今どちらの物語の中にいるのかさえ見失っていきました。

  • 澪として繭を助けようとしているのか
  • 八重として紗重と向き合っているのか
  • 置いていった側として責められているのか
  • 二度と置いていかないために手を伸ばしているのか

繭は繭。
紗重は紗重。
澪は澪。
八重は八重。

分けて見るための線が、徐々に崩れていく——。


誰を救えばいいのか…。
何を止めればいいのか…。
どこへ進めば終わるのか…。

そのどれもがはっきりとした答えにはならない……。

それでも一つだけ残るものがありました。

——繭と離れたくない

澪に残ったのは「正しさ」でも「儀式への理解」でも「繭を外へ連れ戻す判断」でもありませんでした。

ただ、おねえちゃんと一緒にいたい……。

その感情だけが、崩れゆく境界の中で最後まで形を保っていました。

怖いとか…。
分からないとか……。
どうすればいいのかとか……。

そんなのもう…。

どうだっていい!

すべてを振り切ったあと、澪は闇の中へ飛び込んでいきます。

多くのものを見失ったからこそ、澪はかけがえのない繭への気持ちに身を尽くせたのでした——。

闇の中で繭へ向かう澪は、陰祭の記憶をやり直している

闇をかき分けながら進む澪のイメージ画像。

澪が闇の中を進む場面は幼い頃の陰祭の記憶と重なります。

かつて暮羽神社の陰祭で繭は人波の中に澪を見失いました。

澪にとっては、ほんの一瞬の迷子だったのかもしれません。
しかし繭にとっては「澪がいなくなる」という恐怖が初めて形を持った瞬間でした。

その記憶が虚の闇の中で繰り返されます。


  • 昔、二人を隔てたのは人波
  • 今、二人を隔てているのは虚から溢れ出す闇

どちらも繭から澪を遠ざけるものとして立ちはだかりました。

ただし、今回はそこに澪が割り込んでいきます。

澪を見失い泣きじゃくる繭の元へ、闇をかき分けて進んでいく——。

ここで起きているのは「過去の完全なやり直し」ではありませんでした。

あの日、繭が知ってしまった「一人になる恐怖」は消えない……。
澪を見失った記憶も、なかったことにはならない……。

それでも澪は立ち止まりません。

闇が二人の間へ流れ込んできても…。
繭と紗重の境界が分からなくなっても…。
何が正しいのか判断できなくなっても…。

澪は、繭のいる場所へ進みます。

あのとき、人波に遮られた距離へ。
あのとき、繭が一人で泣いていた場所へ。
あのとき、届かなかった「ずっと一緒」の内側へ。

澪は今度こそ、自分から入っていくのです

そして、ようやく辿り着いた先で、二人は泣きながら抱き合います。

そこにあるのは、正しい答えではありません。
儀式の解決でもありません。
現実へ戻るための道でもありません。

ただ、繭の温もりでした……。

陰祭で一度ほどけた距離が、虚の闇の中で結び直されていく——。

「ずっと一緒だから。約束だから」はどのように変わったのか

泣きながら抱擁する澪と繭のイメージ画像。

闇をかき分けた先で澪は繭を抱きしめます。

繭は泣きながら謝り、澪もまた涙を流しながら答えました。

「ずっと…ぃっしょ…っ…だからっ…やくそく…だからっ!」

澪と繭の間で何度も繰り返されてきた約束の言葉。

繭と紗重の境界は曖昧になり、儀式の意味も崩れ、何が正しいのかすら分からない…。

その中で澪に残っていたのは、繭と離れたくないという感情だけでした。


この場面の「ずっと一緒だから。約束だから」は「未来へ向かうための言葉」というよりかは、崩れゆく世界の中で繭を安心させるためだけの言葉」だったのでしょう。

何の意図もなく、泣いている繭に向かって、自分も同じ場所にいるとただ伝えている…。

幼い頃に交わした約束の形を、もう一度なぞりながら——。


「ずっと一緒」

元々それは、二人がまだ分かれていることを知らなかった頃の「何気ない約束」でした。

けれど陰祭で手が離れ、崖で繭が落ち、皆神村で八重と紗重の記憶に触れたことで、その言葉は少しずつ重くなっていきます。

一緒にいるとは、どういうことなのか

  • 手を離さないことなのか
  • 同じ場所に落ちることなのか
  • 相手を終わらせることなのか
  • 一つになることなのか

双籠りエンディングでは、その問いに綺麗な答えは与えられません。

澪は繭を抱きしめ、約束という言葉を「今この瞬間に繭を離さないため」だけに使ってしまう…。

ここがとても苦しいところです。

「ずっと一緒だから」と言った瞬間、二人は外へ向かうのではなく、さらに深い闇の中へ近づいていきました……。

約束の言葉は、二人を生かす道標ではなく、同じ場所へ沈むための合図として響いてしまったのです。


何が正しいかは分からない…。
繭がどこまで繭なのかも分からない…。

それでも、目の前で泣いている繭を一人にさせたくはない——。

澪にとってはこれが精一杯の答えでした。


約束は、まだそこにあります。

ただ、その約束は二人を暗い繭の内側で結びつける糸へと変わっていきました。


首を絞め合う遊びは、なぜ死へ変わってしまったのか

少しいたずらっぽく微笑み、紗重の首元へ両手を伸ばす八重のイメージ画像。

双籠りエンディングで最も異様なのは、澪と繭が互いの首を絞め合う場面です。

その直前、闇の中で抱き合う澪と繭の姿は八重と紗重に重なりました。

八重が少しいたずらっぽく微笑み、紗重の首元へ両手を伸ばす。
紗重もまた、八重の首元へ手を添える。

幼い頃から二人だけが知っていた秘密の遊び——。

  • 互いの首に手をかける
  • 痛みを分け合う
  • 二人だけで、一つになる

この時点で、紅贄祭はただの儀式ではなくなります…。


本来の紅贄祭には姉が妹を殺すという形がありました。

そこには、生まれた順番による役割が一応あります。

しかしここにおいてはその差が崩れてしまいました。

八重が力を込める。
紗重が力を込める。

澪が力を込める。
繭が力を込める。

どちらか一方がもう片方を終わらせているのではありません。

二人同時に触れ、同時に触れられ、同じ深さへ沈んでいく——。

触れているのか。
触れられているのか。

終わらせようとしているのか。
一つになろうとしているのか。

その感覚さえ、闇の中でほどけていくのです……。


紅い蝶では、澪が繭の首へ手を伸ばしました。
凍蝶では、繭が澪の首へ手を伸ばしました。

双籠りでは、お互いがお互いの首へ手を伸ばします。

  • 相手に触れたい
  • 相手を離したくない
  • 相手との境界をなくしたい

その想いが互いの首を絞め合う形として現れのでしょう。


見逃せないのはこの感覚が皆神村に来て初めて生まれたものではないという点です。

前日譚において、澪と繭もまた、幼い頃に八重と紗重と同じ遊びをしていたことが明かされていました。

  • 互いの首に手をかけること
  • 痛みを分け合うこと
  • 薄れゆく意識の中で境界が曖昧になること

片割れとの距離を限りなく零に近づけるための危うい遊び…。

首を絞め合う行為は皆神村の因習から派生したものではなく、元々双子の持つ「一つに還りたい」願望が表に現れてしまったときの形なのかもしれません。

そして、この場面ではその遊びが紅贄祭と重なっていきます。

力を込めるたびに距離が消えていく……。
息が詰まるたびに境界が薄れていく……。

「一つに還る」感覚を確かめる遊びが、最後には本当の死をもたらしまうのでした。

一枚の着物|二人を包む棺、婚礼衣装、そして繭

澪と繭が一枚の着物にくるまれて並んでいるイメージ画像。

互いの首に手をかけた澪と繭。

その先で描かれたのは一枚の着物にくるまれた二人の姿です。

繋いだ手は、固く握られたままでした——。


この着物は澪と繭を静かに包み込む衣です。

  • 棺のようにも見える
  • 「繭」のようにも見える
  • 婚礼衣装のようにも見える

ディレクターの着想メモには「ダブルウェディングドレス」という言葉が残されていました。

実際には一枚の着物として描かれていますが、そこには二人が最後に同じものをまとい、同じ場所へ向かっていくような「婚礼に似たイメージ」が重なっています。

ただし、これは祝福された婚礼ではありません。

未来へ歩き出すための衣装ではなく、外の世界を手放し、二人だけで終わりへ向かうための衣装なのです。


闇の中で二人は短い言葉を交わします。

「……澪」

「……ん?」

「……なんでもない」

繭は何かを言おうとして、結局それを飲み込みます。
ですが、この場面ではもう言葉にする必要すらなかったのかもしれません。

  • 澪が隣にいる
  • 手が繋がっている
  • 同じ衣に包まれ、同じ闇の中へ沈んでいる

繭の「なんでもない」は言えなかった本心というより、もう言わなくても同じ場所にいることを確かめる沈黙のように見えました。


一枚の着物の中で、二人は近すぎるほど近くにいる。

どちらが支えているのか。
どちらが寄りかかっているのか。
どちらが相手を包んでいるのか。

その区別は、もうほとんど意味を失っています。

ただ、握られた手の温もりだけが残っている……。


この場面が美しいのは二人が穏やかに同じ場所へ収まっているからです。

しかし、その美しさは決して明るいものではありません。

二人はそこから生きて朝日へ歩き出すわけではない。
現実の中で手を繋ぎ直すわけでもない。

一枚の着物にくるまれたまま、静かに沈み、やがて人の形を離れていく…。

ふわりと落ちる着物は、二人を包んでいた最後の器が空っぽになった瞬間のようにも思えました。

その内側から現れるのは二匹の紅い蝶……。


着物は澪と繭の終わりを包み込む衣であると同時に、蝶へと至るための「繭」でもあったのでしょう。

二人はそこで握った手の感触だけを残して、現実からひっそりと離れていきました——。

二匹の紅い蝶が示すもの

二匹の紅い蝶となって飛んでいく澪と繭のイメージ画像。

双籠りエンディングの最後、澪と繭は人の姿を失い二匹の紅い蝶となります。

舞台は、思い出の沢。
幼い頃の二人が遊んでいた場所であり、崖の事故へと繋がる記憶の入口でもある場所です。

二匹の紅い蝶は小さな弧を描いていました。

追いかけるでもなく。
置いていくでもなく。

互いの隣を、もう離れないまま——。

この光景だけを見ると、まるで澪と繭がずっと求めていた「ずっと一緒」が叶ったように感じられます。

ですが、ここで重要なのは二人が一匹ではなく、二匹の紅い蝶になっていることです。


約束エンディングでは、八重と紗重が手を繋ぎ一匹の紅い蝶になりました。

八重が戻り、紗重が受け入れ、二人が手を繋ぐ。
その瞬間、二人のわだかまりがようやく一つの結末にまとまった。

一匹の紅い蝶とは、過去の約束を果たし終えた蝶だったのでしょう。

一方で、双籠りエンディングの澪と繭は違います。

二人はまだ、生きている側の存在でした。
本来なら現実の中で別々の人間として生きていく未来が残されていたはずです。

それなのに閉じた世界に留まってしまう…。

二匹の紅い蝶とは、二人だけの約束に閉じ籠った蝶だったのでしょう。


  • 約束の一匹は、離れてしまった二人が最後に一つへ還った蝶
  • 双籠りの二匹は、一つになりたい二人が別々のまま添い遂げる蝶

どちらも一体化のように見えますが、その意味は大きく異なります。

約束は、過去のわだかまりがほどけ、二人が一匹の蝶として結ばれる。
双籠りは、未来を捨てた二人が、二匹の蝶のまま結ばれる。

完全に一つになることもできず、人間として生きることも選ばず、別々の存在のまま同じ場所へ閉じていく……。


二匹の紅い蝶は幸せの形をしていました。

けれど、その羽音の奥には生きて帰ることを諦めた儚さが確かに混じっていたのです。

だからこそ、思い出の沢を飛ぶ二匹の蝶は美しい——。

総括|双籠りエンディングとは何だったのか

ずっと一緒という約束を叶えた紅い蝶のイメージ画像。

双籠りエンディングでは、澪と繭が「ずっと一緒」という幼い約束を二人だけの閉じた世界で叶えてしまいます。

救いのようでいて、閉じ籠り。
幸福のようでいて、現実を生きられなかった終わり。

「ずっと一緒」の約束……。

それは生きていくことではなく、添い遂げることによって守られたのでした。


双籠り「生きて帰ることを手放し、闇の中で二人だけの一体化へ閉じていく結末」だとすれば、羽化+残り陽「一体化の深さに触れながらもそこに閉じ籠らず、現実の中でもう一度手を取り合う結末」です。

次回は、繭の痛みに触れた先でもう一度手を取り合う救い……「羽化+残り陽エンディング」が何を示しているのか考察していきます。

よろしければ引き続きお付き合いください。

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※本記事は『零紅い蝶 考察』シリーズの一部です。
※記事内画像には、作品世界をもとに作成した非公式の生成画像、および『零 ~紅い蝶~REMAKE』『零 ~眞紅の蝶~』本編のスクリーンショットが含まれます。『零 ~紅い蝶~』に関する権利はコーエーテクモゲームスに帰属します。

※現在入手が難しい公式資料の内容にも触れていますが、物語理解に必要な範囲で要点を整理し、考察を中心に構成しています。

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